先日尼崎市で全市民の住民基本台帳の個人情報が入ったUSBメモリが紛失する事件がありました。
昨今のセキュリティ対策からみても、個人情報を紛失リスクの高いUSBメモリに格納していたこと事が一番の驚きでした。とはいえ運用上の要請により情報を持ち出す必要があった際、暗号化や用途終了後の速やかなデータ消去等のルールが設けられていたようですが、それにも関わらずルールが遵守されなかったことが残念です。
尼崎市の記者会見でパスワードの桁数がうっかり公表されてしまいました。実はこれはとても危険なことでして、パスワードの桁数が判明するだけでパスワードの文字列を総当たりで入力するブルートフォースアタックという攻
撃手法での暗号化解除の確率が非常に高くなってしまいます。
機密データのやりとりにもインターネット及びクラウドの活用が重要であると再認識しました。
また別の事件で徳島県の病院でランサムウェア被害により電子カルテシステムや院内ネットワークが影響を受け一部業務が停止してしまう事案がありました。
この件は詳細がまだ発表されておらず、これから状況確認が進むと思いますが、昨年同じ徳島県内で発生した病院でのランサムウェア被害ではコンピュータやネットワーク機器のアップデートを意図的に放置していたり、サポートが終了した製品を継続使用していたり等々、利用手順の変更を過度に嫌った対応によって大きな被害となってしまった面がありました。
どちらの事故も危険を孕んだ状態の旧来からの運用を行なったことで非常に大きなセキュリティリスクを抱えてしまったように見受けられます。以前は当たり前だったやり方でも、現代では問題となってしまうことは少なくありません。こういった事故を回避するために一番大事なこと、それは頭の切り替えだと感じます。
仕事のために仕方なく苦労してパソコンの使い方を覚えた方もいらっしゃると思います。そして今まで昔に教わった通りにだけしか使ったことが無い方もおられると思います。
大変な思いをして覚えた知識かも知れませんが、時代が進んだことで新たな使い方を改めて知る必要があります。知識がアップデートされることで今までのやり方よりも手間手数を減らしより安全に仕事ができます。そして手間が減ればミスが減ってより効率よく仕事が捗ります。
自分のしてきた苦労を人にも押し付けることで学ばせる教育があるようですが、先進国の中で最も生産性が低い状況から脱出するには仕事のやり方を常に見直しもっと安全に且つ効率良く仕事を進めて同じ労力ならより大きな成果になる環境作りが大事、と思います。
保険業界向けメールマガジン【ｉｎｓｗａｔｃｈ】Vol.1142
(2022/06/27)
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