ここ数年クラウドストレージの活用がとても増えました。
普及のきっかけはMicrosoftのOneDriveや、Dropbox、Boxといった個人向けのクラウドストレージと手元のパソコンのファイルを同期させる方法が広まったことだったかと思います。
しかしこのような同期型のサービスでは、複数の人が同じファイルを同時に開いてしまうと一方の更新しか反映しない更新の競合という状態が発生してしまうので、組織等での利用には問題がありました。
またクラウドのストレージと常に同期しているので、同期対象のフォルダに大きなファイルや大量のファイルを入れてしまうと同期の完了までに時間を要したり、ディスク容量の小さなパソコンでは同期されたファイルの保存ができなかったり、空き容量が不足してパソコンが起動できなくなってしまうトラブルもありました。
最近では、複数の人が同じファイルを同時に開いた場合でも個別に保存する機能があったり、全てのファイルを同期するのではなくファイルの実体はクラウドにだけ置くことでパソコンのディスク消費を抑え、必要なファイルを開いた時に初めてクラウドからファイルを引いてくる仕組みに変わってきました。
このような変化に伴って、今まで組織で利用していたファイルサーバやNAS等のファイル共有機器からクラウドストレージでのファイル共有に置き換えるところも増えています。
ファイル共有機器はハードウェアの購入となるので導入費用が高額になりがちです。また機器を長期間使っていると経年劣化で機器の故障によるデータ消失リスクが高まるので定期的な機器交換が必要です。
その点クラウドストレージであれば月額や年額での利用料支払いは発生しますが、サービス提供が終了しない限りは永続的に利用可能です。
クラウドストレージはインターネット上で提供されるサービスですので、インターネットの接続速度により利便性に大きな影響があります。
特にファイルをクラウドに移行させる際、インターネットへの上り速度が遅いと非常に時間がかかります。
時間帯により利用者が増える等の要因で回線速度が遅くなってしまうプロバイダを利用されている場合には移行作業の時間帯を考慮する必要があります。
またいくらインターネットの速度が速くなったとはいえ、ファイルの量が多かったりサイズが大きいと移行に時間を要します。
ファイルやフォルダの大きさを表す単位はByte(バイト)で表し、これに補助単位で小さい方からK(キロ)、M(メガ)、G(ギガ)、T(テラ)が付きますが、1M=1024Kと、それぞれ1024倍づつ増えて行きます。1Mと1Tでは大凡100万倍の違いがあります。1M1秒かかるものが1Tでは12日要することになります。
読み違えると大変なことになりますので注意が必要です。
保険業界向けメールマガジン【inswatch】Vol.1146
(2022/07/25)
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