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クラウドサービスってどう使うの?その28 修理して使えないの? inswatch掲載分

 日々色々なお客様とお仕事させていただくのですが、その中でパソコン等IT機器の修理依頼をいただくことがあります。

 しかし残念なことに修理をお断りせざるを得ないこともあります。

 パソコンやスマホは触れている時間が長くなってしまうからか、その品物そのものについ愛着が湧いてしまうことも多いようで、修理のお断りをお伝えすると「何とかできないの?」とお叱りをしばしばいただいてしまいます。

 私共も可能であれば修理をしたいのですが、できない事情がございます。

 IT機器の中身は半導体でできた部品が多く使われています。半導体部品の製造には大掛かりな設備が必要で、小さな町工場等では作れず大きなメーカーが専門の工場を建て、その中で製造されています。部品の開発競争も激しいので、技術革新も常に進んでおり次々に新しい部品が開発されています。それに伴い古い部品が直ぐに製造終了となってしまうのです。

 そのため故障したIT機器に使われている部品が必要な時には既に製造終了しており、部品在庫が無くなった時点で修理ができなくなってしまいます。

 製造が大変な電子部品に比べ、そういった部品が使われていない昔の家電製品や自動車、バイク、楽器等であれば入手できなくなった部品が壊れたとしても部品そのものを新たに作ったりして何度も修理して長く使うことができたのですが、半導体部品が使われている場合はその部品が入手できなくなった時点で多くの場合修理不能となってしまいます。

 IT機器は手に取って使われる品物ではあるのですが、今まで存在した家電等の製品と大きく違う点があります。それは「あらゆるデータを格納して便利に使うための器である」ということです。

 家電等の製品は予め使われ方が決まっています。ですが、IT機器ではあらゆるデータが格納でき、人によって全く異なる使い方をされます。なので使う方にとって格納されているデータにこそ価値があるので大事にしなければなりません。

 クラウドサービスが普及したおかげでしっかり設定さえしておけばデータが失われてしまう事態は以前に比べ大幅に減りました。データさえちゃんとしていれば器が替わってしまっても役割がちゃんと果たされます。

 私は古いギターが好きで購入価格以上の修理メンテナンス代を払って維持している品物も持っているぐらい愛着を持ってしまう性分なので物を大切に使う考えにとても共感するのですが、電子部品を使っているものだけは相容れないことがあるということを知っていただけたら嬉しいです。

 

 

保険業界向けメールマガジン【inswatch】Vol.1154 (2022/09/26)
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